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by psychiatrist / contributor for Cookie Scene music journalism publication since 1997 to2009. web magazine launched in 2010.

REVIEW ASIAN KUNG-FU GENERATION 『ザ・レコーディング at NHK CR-509 Studio』

http://cookiescene.jp/2013/09/asian-kungfu-generation-at-nhk.php

 

このレビューの行間には以下に記す、これだけのアウト・テイクがあります。

 

 

 

 一言ではいえない、複雑なものを複雑なままつなぎ止めるために音楽が必要だ。『THE FUTURE TIMES』5号において畑中章宏が「妖怪」や民間伝承について述べたことはアート全般に当てはまる。

 赤坂憲雄は、後藤との対談でだいたい以下のようなことを語っている。「象徴的な例を挙げる。野鳥の会と風力発電を推進する人々は犬猿の仲だった。風車で鳥が犠牲になるからだ。しかし両者が対立し続けていられたのは、原発が巨大なエネルギーを作ってくれていたから。つまり原発がブラック・ボックスのように存在していたからこそ、我々は楽をして、おまけに喧嘩までしていられた。もう原発と共存できない以上、どこかで折り合いをつけていくしかない。電気のない生活に戻れないのと同じで、鳥を一羽も犠牲にしないで生きていくことはできやしない」。巨大なパワーに守られていて何不自由ないからこそ、無駄な喧嘩をし続けることができた、と考えたらありふれた話だ。

 全ての罪は我々一人一人の中に在る。今まで原発に守られ、ぬくぬくと暮らしてきたことに感謝して、しかし決別する。今、幼年期を終わらせなければ、我々はさなぎのままで腐ってしまう。高くても代替エネルギーを選びたい。税金が上がろうが貧しくなろうが、住むところが無くなる可能性におびえるよりマシだ。

 これは文筆家の岡村詩野氏から直接伺った話、つまり受け売りだが、後藤正文忌野清志郎反原発思想をそのまま引き継いだように思える。しかし話はそんなに単純ではない。忌野清志郎は理想に向けて突っ走るカリスマであり先駆者だ。その表現は他の追随を許さない、圧倒的な強度がある。しかし当然大きな妨害に遭う。後藤正文はそこから学び、現実的なヴィジョンを構築する。いつまでも情熱一発では済まされない。反権力を掲げるわけではない。今ある世界を作ったのは我々ひとりひとりだ。我々は変わることを選ぶことができる。ここまで書いて気づいたのだが、後藤正文が発明したドラえもんは『THE FUTURE TIMES』ではなかった。ASIAN KUNG-FU GENERATIONそのものだった。子ども達の未来をつないでいく。音楽は時間も空間も越えていく。さまざまな大切なことを伝えるタイム・マシンだ。

 

 

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