sync4

by psychiatrist / contributor for Cookie Scene music journalism publication since 1997 to2009. web magazine launched in 2010.

スキゾイド 1

  彼はノートを広げていた。

  「地球最期の日にあなたはどんな表情をしますか?」

 彼は長い年月のあいだ統合失調症だった。一見すると全く精神が荒れ果てているようにみえた。それがだ。ある種の事態に出くわすと、突然思慮深く感情さえ表してその事態を乗り切ることがある。その事態とは、例えば戦時下の空襲であったり、身体的な危機であったりというたぐい。シュナイダーの臨床精神病理学で私が一番気に入っている箇所だ。

 統合失調症、あるいはそれに近い感性を持った集団は、人類に一定の割合だけ存在する。いつの時代もほぼ常に一定だという。なぜか?それは人類が存続する為に有利な素因だからかもしれない。この統合失調症近縁の集団を仮にスキゾイドschizoidと呼ぶ。  

  この特性(あるいは村上春樹の言い方によれば「傾向」)は自閉症スペクトラム(連続体)とも似通っている。スキゾイドはシンドローム(症候群)だから、なるほど。どこかで重なり合う。または起源が同じなのだ。

  「自閉症統合失調症もひょっとしたら根っこが同じかもしれない。」 高名な医学者が最近よく口にする。元々が医学者が勝手に決めた分類だから、ほころびだってあるかもしれない。私はこの文章全体でスキゾイドschizoid」という言葉を統合失調症自閉症スペクトラムを広く含む概念として用いることにする

 

 

  by Toyokazu Mori (森豊和) mail sync4@i.softbank.jp
 

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